広島弾丸ツアー
先日、広島に住む祖母が亡くなり、バタバタと飛行機とレンタカーを手配し、最後のお別れに行ってきた。子どもの頃は毎年夏に(ときには正月も)広島に行くのがお決まりで、東京生まれ東京育ちの私も少しだけ故郷もどきを味わえる思い出深い場所である。いつも親戚が大集合し、賑やかに夏を過ごしていた祖母宅だけど、子どもの成長とともに大集合はなくなり、両親だけで訪れることが増えていった。
祖母とは数ヶ月前、電話で話したのが最後。97歳だったから完全な健康体ではないのは当たり前として、自ら100歳を目指すと表明していたくらい、生きる気力があった(と聞いていた)。97歳といえば誰もが「大往生ですね」と言うし、そうなのだろうけど、ずっと生きていてくれるものだと信じてしまっていたかもしれない。元気なうちにもう一度会いたかった。
広島全域の文化なのかは知らないけれど、祖母のいた三次のお盆は、お墓に盆燈籠を供えるのが習わし。初盆のお墓には白い燈籠、そうじゃないお墓にはカラフルな燈籠。ろうそくに火をともした燈籠(さすがに今は火はつけないらしい)がズラッと並ぶ風景は圧巻の美しさで、脳裏に深く焼き付いている。そして、白い燈籠を見つけては「あ、誰かが亡くなったんだ」と心を痛めていた。今年もあちこちで盆燈籠の準備が進んでいるのを見かけ、祖母のお墓に白い燈籠が立つところを想像した。
葬儀のあと、祖母宅前を通ってみた。街はずいぶん変わっていて、記憶の断片をかき集めるのが難しかったけれど、この家のたたずまいを見た瞬間、よく訪れた祖母宅の想い出が鮮明に蘇った。この建物の一部、右奥に祖母宅が連なっていて、ガラガラと引き戸を開けると土間が広がり、自転車が何台も置かれていたのを覚えている(残念ながら現在はリフォーム済み)。今にも「よう来んちゃったね〜」と、祖母が出てくるんじゃないかという……そばにいるような空気を感じた。五右衛門風呂にボットン便所、ねずみが出た押入れ、釣った魚をみんなで料理した台所。懐かしいな〜。これは私の曽祖父が建てた家だそうで、撮影をしていたら、通りがかりの人に「この建物は国宝級だよ!」と声をかけられた。
祖母が亡くなり、もうこの街に来ることもなくなるのかと思うと、突然寂しさがこみ上げてきた。子どもの頃のキラキラとした広島の想い出、今思えば贅沢だったんだなぁ。たあたん、素敵な宝物をありがとうね!(たあたん=祖母のこと)
1泊2日の弾丸ツアーを終え、無事羽田に到着。空から見る東京の夜景はすごくきれいで、車でレインボーブリッジを渡るあたりでグッと来た。私の故郷、東京。
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